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AIを動かす10の掟
AIに仕事をさせる人になるための10の行動ルール(講義では「AI-Driven Rules」と呼ばれています)。全講義の土台であり、迷ったらここに戻ります。前半5つは第1回講義、後半5つは第2回講義で詳しく解説されています。
90点→100点の戦いに備えよ
AIは90点まで一瞬、最後の10点は人間が詰める
AIを使えば90点レベルのものは一瞬で作れますが、そこから100点に近づけるほど労力は膨大になります。実際のプロジェクト固有の問題ではAIの正答率が大きく落ちることが研究でも示されており、最後の仕上げ(詰め)は人間にしかできません。全自動を夢見るのではなく、最後の10点を詰めるための道具作りにAIを使う発想が大切です。
理解できないものは作るな
仕組みを理解せず丸投げすると最後の詰めができない
理解しないままAIにツール作りを丸投げすると、だいたい動くけれどあと少しが直せない、という状態から抜け出せなくなります。作りたいものがある瞬間は記憶が最も定着しやすい学習のチャンスであり、そこでAIに「新卒社会人でも分かるように説明して」と聞きながら、一つひとつ仕組みを理解して進めることが重要です。全部理解してから作るのではなく、作りながら学ぶのが最も身につきます。
自分の武器を自分で作れ
汎用ツールに仕事を合わせず、自分専用の道具を作る
これまではWordやExcelのような汎用ツールに自分の仕事を合わせるのが当たり前でしたが、それらは一人ひとりの仕事に100%フィットするようには作られていません。AIによってツールを作る側のハードルはこの1〜2年で劇的に下がっており、自分の仕事に最適化した「自分の武器」を自分で作れる時代になりました。いかに上手く既存ツールを使うかではなく、いかに自分の武器を作るかが問われます。
図解で認知コストを下げろ
文章より図解の方が圧倒的に速く頭に入る
世界で生まれるデータ量が爆発的に増える一方、人間が意識的に処理できる情報量は毎秒わずか10ビットしかなく、脳の処理能力は何千年も変わっていません。同じ情報でも文章より図解にした方が全体像が一目で頭に入るため、AI時代のテキストコミュニケーションはもう限界です。図解には自分が理解するための「自分用」と、他者に伝えるための「共有用」の2つの用途があり、AIを使えば素早く作れます。
議論する前にプロトタイプを作れ
考えてから作るな、作ってから考えろ
図解よりもさらに強力な手段が、動くものを見せることです。人間は感情で意思決定するため、長々とロジックを説明されるより、目に見えて動くプロトタイプを1つ見せられた方が「いいね」と判断しやすくなります。AIによってプロトタイプを作るコストが下がった今、動かない100枚の企画書より動くプロトタイプを1つ作ることが議論を前に進めます。
AIが見る情報を整えろ
プロンプトだけでなくAIに渡す情報全体を整理する
AIをうまく使う鍵はプロンプト(AIへの指示文)の巧拙だけでなく、AIがのびのびと働ける環境、すなわちコンテキスト(AIに渡す参考情報)を整えることに移ってきました。情報の正本を1箇所に集約する「SSoT(Single Source of Truth/唯一の正しい情報源)の原則」を守り、必要な情報だけを整理して渡すことで、コンテキストウィンドウ(AIが一度に扱える情報量の上限)の圧迫やアテンション(注意力)の分散を防げます。あわせて変更履歴を管理できるGit(バージョン管理ツール)を使うことで、AIに仕事を任せても安心して情報を整理し続けられます。
skillを育て続けろ
AIをベテラン化する仕組み・skillを育てる
AIは記憶をなくしてしまう天才のようなもので、毎回ゼロから同じ説明をするのは非効率です。skill(AI業界共通の規格で、AI自身が「自分は何ができるか」を認識できる仕組み)を使えば、単なるプロンプト保存とは違い、AIが必要な時に自ら呼び出して活用できます。同じ作業を3回繰り返したらskillにする、というルールで、AIをベテラン社員のように育て続けることが重要です。
抽象指示より模範解答を作れ
抽象的な指示の羅列より、理想の実例を1つ渡す方が効く
「丁寧に」「分かりやすく」といった抽象的な指示を積み重ねるより、理想の完成形を1つ渡して「これと同じトーンで書いて」と伝える方が、AIのアウトプット品質は一気に上がります。模範解答がない場合は、まず雑にAIへ依頼してたたき台を作り、それを手作業で模範解答へと仕上げ、以降はその模範解答を渡して量産する、という4ステップで進めます。模範解答は最高のコンテキストであり、AIに全て丸投げして模範解答作りから逃げないことが大切です。
スピードを出すな、対話しろ
焦って一気に作ると90%から先が永遠に完成しない
AIは仕事が早く見た目のクオリティも高いため、つい勢いよく進めがちですが、あとから「そもそもこの方向で良かったのか」と気づいてやり直しになったり、原因不明のバグに悩まされたりします。丁寧にAIと対話しながら1つずつ理解して選択を積み重ねていく方が、一見完成が遅く見えても最後には一気に高品質なものが完成します。もう大丈夫だろうという段階こそ油断せず、これしかないと確信できるまで対話を続けることが最短ルートです。
1クリックを減らせ
便利なツールの価値は機能でなく使いやすい画面にある
自分の武器(ツール)を作る際、機能さえ揃えば完成と思いがちですが、実際に大切なのは使いやすいUI(ユーザーインターフェース、画面の使いやすさ)です。人はワンクリック・ワンタップの手間が増えるだけでツールを使わなくなるため、送信ボタンを分けて優先度を自然に選ばせるなど、いらないステップを消す工夫が必要です。ボタンを増やして何でもできるようにするのではなく、自分以外の人も迷わず使える画面を目指すことが、ツールの生産性を左右します。