この講義は「AI-Driven World Tour(AIドリブン・ワールドツアー)」と題した、スクール全体を俯瞰して土台を整える回です。難しい技術の手順はまだ出てきません。目的は、これから半年間で身につける「AIに仕事をさせる人材」の全体像を、ぼんやりとでもイメージできるようになることです。
扱うのは大きく3つです。1つ目は、AIを運営会社サプライズ社が現場でどう使っているかの実例(ワールドツアー)。2つ目は、AI革命でいま世界に何が起きているかを数字で確認すること。3つ目は、AI時代の行動指針「AI Drivenルールズ」全10個のうち前半5個の解説です。
ここで語られるゴールは「お勉強」ではありません。今の会社で誰よりもAIを使いこなし、「別人のようだ」と言われること。そして自分のサービスやツールを公開して収入を得て、評価されることです。細かいことは今すべて分からなくて構いません。半年後に「あの時の話はこういうことだったのか」と腑に落ちる瞬間が来る、という前提で読み進めてください。
このスクールが目指すゴールと心構え
このスクールは、AIに仕事をさせる人・自分で武器を作って仕組みを作れる人になるための6ヶ月間のプログラムです。講師は22歳で学生エンジニアとして起業し、自らコードを書いてWebサービスやアプリを作ってきた人物です。その後、日本最大規模のテクノロジースクールを0から立ち上げ、6万名以上に技術を教え、5000名以上を未経験からエンジニアへと転職させてきました。AIの講座は2017年から続けており、チャンネル登録者数114万人のYouTuberとしても発信を続けています。
その講師が、いま毎日AIコーディングツール(プログラムをAIの助けで書く道具)でコードを書き続ける中で痛感したのが「AIを活用すればするほど、AIの限界を引き出すにはテクノロジーに詳しくなる必要がある」という現実でした。だからこのスクールは、小手先のHow Toではなく、時代を超えて使える普遍的な知識と経験を、最も効率よく身につけられるように設計されています。
やる気ではなく「環境」で続ける
半年間、やる気だけで学び続けられる人はほとんどいません。最初は意欲に満ちていても、仕事が忙しい日が続けば学習は後回しになり、一度後回しにするとそのままフェードアウトします。だからこそ、意志に頼らず「学ばざるを得ない環境」を作ることが重要です。周りの人に協力してもらう、スケジュールを先に調整する、といった具体的な手を打っておきます。
一般的なAIスクールとの4つの違い
世の中にはAIスクールが数多くありますが、このスクールはAI時代の最高の学びとは何かという観点で教育の形そのものを再設計しています。違いは4つです。
違い1:教える人が違う
多くのAIスクールで教えているのはマーケターやコンサルタントなどの非エンジニアです。それ自体が悪いわけではありませんが、AIの限界を引き出しAIで仕組みを作るには、実際にコードを書いてきたテクノロジーに強い人間にしか教えられないことがあります。講師は現役のエンジニアであり、毎日コードを書き、テクノロジーを教えることも日本一やってきました。受講生に職業としてのITエンジニアになってほしいわけではありませんが、AIを誰よりも使いこなすには、エンジニアリングを理解した講師であることが不可欠だという考え方です。
違い2:身につける知識が違う
一般的なAIスクールは「最強のプロンプト10選」「ChatGPTの活用法」のような、表面的なツールの使い方を教えます。しかしAIの世界は猛スピードで変わり、表面的な使い方はツールが変わった瞬間にすべてやり直しになります。このスクールでは「ドリル」を通じてテクノロジーの基礎を身につけます。1日5分から10分、ゲーム感覚で仕組みを理解していく方式です。原理が分かればツールが変わっても応用が利き、その知識は来年も5年後も10年後も武器になります。
違い3:学び方が違う
一般的なスクールは「AIでブログ記事を書いてみましょう」のように、用意されたお題をなぞらせます。しかしそれはAI時代にはもう古い学びの形です。AI時代の最高の学びは、実際に使える道具を作っていくこと。このスクールでは毎月1つ、実際に仕事で使える動くツールを完成させ、半年間で6つの武器を手に入れます。もちろん職場や仕事内容によってそのまますぐ使えるとは限りませんが、最初から使わない前提の「模擬」のツールを作るよりはるかに役立ちます。学習のための学習ではなく、学んだことがそのまま仕事の成果になります。
違い4:手元に残るものが違う
多くのスクールはスキルを教えて終わりですが、ここでは使えるツールが手元に残ります。もし作りきれなくても、運営が実際の業務で使っているツールのソースコード(プログラムの元となる文章)をそのまま渡します。受講生はそのひな形を自分の仕事に合わせてカスタマイズできます。再販禁止などの一部制限はありますが、基本的には自由に使える仕組みです。
最初のワーク:進捗ダッシュボードの段取りを考える
講義の冒頭には、最初の本格的なワークとして「進捗ダッシュボード作りの段取り」を考える時間が置かれました。この問いは後半のRule 1と受講の前提で回収される、講義全体を貫く仕掛けです。読者もここで一度、実際に書き出してから読み進めることをおすすめします。
ここで書いた段取りは、後半のルール解説で答え合わせをします。手元に残しておいてください。
ワールドツアー:現場で使われている5つのツール
ここからは運営会社が実際に毎日使っているツールを紹介します。仕組みの詳しい解説はまだしません。あくまで「AI-Drivenとはこういうことか」という雰囲気をつかむための時間です。
1. 図解作成・フィードバックツール
1人が膨大な情報を処理しなければならないAI時代には、人間が情報を認知しやすくすることが何より重要です。かつてクイックな情報のやり取りといえばテキストでしたが、AI時代の主役は図解です。ここでいう図解とは、HTML(ウェブページを作る技術)で作る、ウェブブラウザで開いて見られる視覚的な資料のこと。ワンコマンドでAIに作らせる、見やすいウェブページの資料だと考えてください。ChatGPT・Gemini・Claudeに「HTML図解にして」と言えば誰でも作れます。
このツールには、図解にその場でフィードバックできる仕組みも付いています。たとえば上司に図解で提案するとき、上司は分からない箇所の文字を選択してテキストを打ち、投稿時にその重要度を選べます。スマホにも対応しており、移動中でもパッと見やすい設計です。さらに、そもそもどんなビジネスなのか・どんな人が使うのかといった土台の情報(コンテキスト=AIに渡す前提情報)を自動で渡せるようにしておくのがポイントです。
このツールで使っているのが「Surge.sh」という、無料でウェブページをアップロードできるサービスです。運営としてはおすすめですが、セキュリティの観点で使えない人もいるため、その場合は各自でアップロード可能な別の場所を用意してください。
2. デイリーレポートツール
複数人でプロジェクトを進めると、今誰がどんな進捗なのか、全体の進み具合はどうかを正しく把握したくなります。口頭で聞いたりタスク管理ツールを開いて確認したりを毎日やるのは面倒です。そこで運営は、毎朝自動で、会社で使うチャットツール「Slack」のチャンネルにビジュアルで見やすい進捗レポートが届くツールを作りました。
届くのは、冒頭のダッシュボードのワークで考えたものに似た、パッと見で分かるレポートです。黄色や赤のときは何が具体的に遅れているかを確認でき、改善案も書かれています。AIがタスクの進捗を読み取って分析し、毎朝レポートしてくれることで、人間はやるべきことに集中できるようになりました。
3. 動画演出指定ツール
リッチで面白い動画の編集作業を効率化するツールです。2024年に企画を始めた時点では完成まで2〜3年かかると見込んでいましたが、AIの進化で想定の10分の1の人数、約3ヶ月で完成しました。AI活用マガジン「本気AI」の動画はすべてこのツールで作られています。
動画編集は「撮影した映像をつないでテロップと音楽を入れて完成」という単純なものではありません。手作業の工程が無限にあり、YouTube品質なら1分の尺で数時間かかるのが普通です。「本気AI」にはマスターとマジ君という2人のキャラクターが登場し、セリフに合わせて口を動かし、感情に合わせて表情が変わります(驚いたら驚いた顔、怒ったら怒った顔)。これをセリフ単位で全部指定します。テロップも単なる文字ではなく26種類の演出セットがあり、強調したい箇所は効果音とともに文字をズームインし背景が変わる、怒りなら集中線と炎の背景、ショックなら雷と画面の揺れ、といった演出を1セリフごとに設定していきます。
さらに、動画内で大量に使う画像の制作、画面収録の配置、AI音声生成、効果音、BGMなど、使うツールがバラバラでした。画像生成ならデザインツールのFigma、画面収録はMacのQuickTime Player、というように5〜6個のツールを行き来して1本を作るのが普通でした。以前は、やり直しを減らすため、ディレクターがドキュメントツールのNotionに「どの場面でどんな演出をするか」の台本をすべて手書きしていました。何百というセリフに「ここは強調テロップ」「ここでサウンドエフェクトはドーン」「ここで表情は驚き」と書き込む作業です。
このツールでは、それらすべてをブラウザの1画面で完結できます。音声はセリフを選んで生成ボタンを押すと複数パターンが作られ、聞き比べて選び、スピードのスライダーで速さや間・抑揚も調整できます。ノイズ除去も自動でかかり、原稿があれば一括生成も可能です。表情はセリフごとに標準・驚き・疑問・怒り・喜びなどをプルダウンで選べますが、この画面はあくまで人間の微修正用です。AIに最適な表情を提案させ、人間はチェックをして一括生成ボタンを押すだけで、選んだ音声に合わせてキャラクターが口を動かすアニメーションが自動でできあがります。以前使っていたAdobe Character Animatorは不要になり、演出決めから編集までのトータル工数が10分の1になりました。編集者は「もうこれなしでは編集できない」と語っています。
4. ドリルのクイズ作成ツール
毎日取り組むドリルの問題を作るツールも自作しています。「AIに問題を作らせるだけなら簡単では」と思うかもしれませんが、簡単ではありません。まず「シリーズ」という単元全体の設計(どの順序で何を学ばせるか)があり、その中に「コース」というカリキュラム設計があり、さらにその中に「レッスン」という一問一問の品質管理ページがあります。国語の中に現代文があるようなイメージで、シリーズ→コース→レッスンの3階層を上からすべてAIで作成します。
問題をAIが作ると、自動でAIがレビューをかけ、基準を満たすまで何度も修正が繰り返されます。問題に入る図や画像も自動生成されます。ツール自体の中にAIが組み込まれており、レビューしたいときはボタンを押せばエージェントのタブが開いて自動でレビューを始め、大きな修正も部分的な修正もこの画面でできます。このように、AIが出して人間が承認もしくは修正を入れる流れを「Human in the Loop(ヒューマン・イン・ザ・ループ=人間を工程の輪の中に組み込むこと)」と呼びます。
このツールにはAIの限界を超えるための「三種の神器」、Skill・Sub-agent・Hookという技術が使われています。いまは何のことか分からなくて大丈夫です。このクイズ作成ツールは9割方を講師本人が開発しました。手でプログラムを書いていた頃なら1年以上かかったであろうものが、片手間で2ヶ月で仕上がっています。
5. コンテンツビューアー(この講義を作る道具)
5つ目は、講師自身の面倒を解決するために作った「AI Driven School コンテンツビューアー」です。この講義そのものを作るためにAIで作ったAIツールです。講義作りなどしないという人は、取引先に提出する資料作りに置き換えて捉えてほしい、と講師は言い添えています。以前の講義作りでは、iPadに手書きで構成を書き、原稿に落とし込み、デザイナーにスライドを依頼し、修正の往復をしていました。講義の中身を考えること自体は楽しいのに、面倒なのは大量のツールを行き来することでした。原稿を直せばスライドも直す、下調べした情報がどこにあるか探す、完成したらファクトチェックをかけてまた修正が入る、どこまで終わったか覚えられない、という具合です。
そこで大変だったポイントを4つに整理しました。①何がどこにあるか分からず探すこと、②講義時間に収まるか計算すること、③前提と実物・抽象と具体がつながっているか確認すること、④情報を覚えておくこと。これらを解決するために、設計・原稿・スライド・進捗管理を1画面にまとめたのがこのツールです。スクールのコンセプト、6ヶ月のカリキュラム、講義内容をAIが踏まえて、いちいち言わなくても考えてくれます。
120分の講義はセクションごとに並び、時間配分や経過時間を確認できます。目標時間を設定して原稿を書くと、文字数から所要時間を自動計算します。約20分に1回ワークを入れているのは人間の集中力の限界だからで、20分以上話し続けると自動で警告が出ます。どこまで終わったかにチェックを付けられ、あとどこを仕上げればいいか一目で分かります。
このツールで使っているのが「Cursor」です。本来はエンジニアが使うAIコーディングツールですが、講師はこれを講義作りに活用しています。ツールを作りながらコンテンツも作る、この並行作業がAI時代のスタンダードです。講義作りの前提を毎回説明しなくて済むよう「スキル」という概念にまとめており、たとえば「初回構成」のスキルを使う場合、①「/1」で呼び出し、②音声入力ツールのTypeLessやAquaVoiceでどんな説明をしたいかを語り、③Enterを押す、これだけでいい感じのスライド用原稿・メモ・ファクトチェック済みの参考文献が同時に入ります。以前は手書き原稿をデザイナーに依頼し、修正の往復で何日もかかっていた作業が、Enter一つでできるようになりました。
道具が生産性を変える:コンドルと自転車
ツールを作りながらのコンテンツ制作の途中、講師は何度も「本当にこれでいいのか」「ツールを作る時間があったら講義の企画を考えられる」「既存ツールを使ったほうがいいのでは」と思ったそうです。それでも完成後は「圧倒的に作ったほうが良かった」と感じています。ここで引かれるのがスティーブ・ジョブズの秘蔵インタビューの話です。
あらゆる動物の中で移動のエネルギー効率が一番いいのはコンドルで、人間の歩く・走るは効率が悪い。ところが人間が自転車に乗ると、コンドルをぶち抜いて圧倒的な移動効率を手に入れる。ジョブズは「人間は道具を使うことで生産性を上げてきた。その究極の道具がコンピュータでありウェブ技術だ」と語りました。そして今、人類最強の道具はAIです。このAIで道具を作れば、私たちは圧倒的な生産性を手に入れられます。
これまでの時代は、WordやExcelのような便利なツールが用意されていて、それをいかに使うかが問われました。これからは違います。自らツールを作り、自らのツールで価値を生み出す時代です。料理でたとえるなら、料理を作りながら料理道具を自分で作るようなもの。「こういう鍋があったらいいのに」と思ったら、あなたが道具に合わせるのではなく、理想の道具をその場で作る。最初は分からないことだらけで「うまくいかない」と感じるでしょうが、半年後にはAIツールを自分で作れるAI-Drivenな人材になっています。
ここまで紹介した5つのツールには共通のパターンがあります。「仕事で困った→自分でツールを作った→仕事が変わった」。長文は見にくいから図解にしてフィードバックできるようにした、朝の進捗確認が面倒だから自動で見やすく投稿されるようにした、バラバラなツールを使う動画編集を一元化した、高品質なクイズ作成を自動化した、講義・教材作りを自動化した——全部同じ構造です。
面倒の正体は人によって違います。価値のあるツールとは、何かしらの面倒を解決するものです。そしてその「面倒」は、時代によって変わっていきます。なぜこのワークに取り組むのかは、後半のルール解説の流れの中で明かされます。
AI革命の真実:数字で見る現在地
AIの勢いはすごいものですが、過度な期待もよくありません。いま世界で何が起きているのかを数字で確認します。
- 2026年、世界がAIに使うお金は2.5兆ドル。日本円で約390兆円、日本の国家予算の3倍以上です。しかも前年比44%増で、毎年この角度で伸び続け、減速する気配はありません。
- NVIDIAは、AIの頭脳であるGPU(画像処理を得意とする半導体で、AIの計算に使われる)を作る会社です。この収録時点で時価総額世界1位、売上は3年で8倍、4兆円から32兆円になりました。世界中がAIに投資しているからです。
- Cursorは、AI時代を代表するスタートアップです。10ヶ月で年商10億ドル(約1500億円)に到達し、広告は一切使わずマーケティング費ゼロ。フォーチュン500企業の半分以上が使い、評価額は約5兆円とも言われます。たった24ヶ月でゼロから5兆円の会社ができたのです。
いま最もAIの影響を受けている仕事は、ソフトウェアエンジニアだと言われています。今や10人中9人がAIで開発しています。ChatGPT・Gemini・ClaudeのようなAIはプログラムで作られるため、プログラムを書く能力を高めることでAI自身が自己成長できることを目指した結果、コーディング能力が飛躍的に上がりました。AIとプログラミングの相性がもともと良かったという面もあります。実際、AIのコーディング能力を測るテストの正答率は、1年半前は49%(半分しか解けなかった)だったものが、今は80%を超えています。「たまに当たる」から「ほぼ当たる」に変わったのです。長年コードを書いてきた講師自身も、「まったく別の仕事になったと言ってもいいほど仕事のやり方が変わった」と語っています。
「仕事はなくなる」の誤解とジェボンズのパラドックス
「AIによって仕事がなくなる」とよく言われます。ソフトウェア開発はAIがコードを書ける、カスタマーサポートはAIチャットボットで自動化できる、翻訳はリアルタイム翻訳ツールがある——だからこの3つの仕事はなくなる、と直感的には思えます。しかし実際のデータは真逆です。この3つの市場は、規模で見るとこれから全部伸びます。翻訳市場は2032年に1.6倍、カスタマーサポートも毎年10%から19%成長し、ソフトウェア開発も伸び続けています。単純な翻訳の仕事は数値でも減っていますが、市場全体は伸びているのです。
ジェボンズのパラドックス
ここで理解の鍵になるのが「ジェボンズのパラドックス」です。100年以上前、石炭と蒸気機関の時代、「蒸気機関の効率が上がれば石炭の消費量は減るはず(少ない石炭で同じ仕事ができるから)」と思われました。ところが効率が飛躍的に上がった後、石炭消費量はむしろ増えました。効率が上がってコストが下がると、使える場所が爆発的に広がり、結果として消費量が増える——160年前から変わらない法則です。
同じことがカメラでも起きました。2003年にデジカメの出荷台数がフィルムカメラを逆転し、誰でも綺麗な写真を撮れるようになりました。2010年のiPhone 4でスマホのカメラが劇的に向上し、誰もがデジタルカメラを持つ時代になり、デジカメ市場は93%消滅しました。しかし写真家という職業は消えていません。ただ綺麗に撮るだけの写真家はいなくなり、「何を撮るか・どう表現するか」が問われるようになり、写真サービス市場自体は今も拡大しています。テクノロジーが「すごい」を「普通」に引き上げるたびに、その上に新しい基準が生まれ、その基準を満たす人に大きなチャンスが生まれます。
同じ作業をし続ければ確かにその仕事はなくなります。しかしAIの普及で、より高度な需要が爆発します。単純な翻訳はAIができても、ビジネスがグローバル化すればその国に合わせた戦略設計が必要になり、それを考え最後に責任を取る翻訳者が要ります。定型のカスタマーサポートは不要になっても、サービスが複雑になればきめ細やかな顧客体験の設計や最終確認をする人が必要です。コードはAIが書くようになっても、より難しいシステムを設計するために、全体の設計(アーキテクチャ=システム全体の構造設計)を考えるエンジニアが必要になります。だからこそ市場は伸びるとされているのです。文章・写真・動画・音楽、そして物理的な動きが必要な分野もAI搭載ロボットが変えていく。私たちは歴史的な変化の渦中にいます。
AI-Drivenな人材とは何か
では、この世界でどういう人が勝つのでしょうか。「ChatGPTを使える」はもはやコモディティ(誰でも持っている当たり前のもの)で、ただ使えるだけでは武器になりません。これからの時代に勝つのは、「何を解決したいか」という目的意識を持った人です。全員に起業家のようなマインドセットが求められます。
では目的意識はどうやって持てるのか。その答えは「仕組みを解像度高く理解していること」です。料理でたとえます。台所にいろんな食材が置いてあるとき、料理経験がない人は何を作っていいか分かりません。逆に料理人なら何百・何千パターンの料理を作れます。料理に慣れた人は食材の扱い、調味料の性質、火加減を分かっている=解像度が高いから、クリエイティブな一皿を作れます。レシピ通りに作るだけなら誰でも同じですが、新しい味を生み出すには基礎技術が必要です。
テクノロジーも同じ構造です。プログラムとは何か、パソコンはどう動くのか、仕組みを分かっている人ほど新しいプロダクトを生み出せます。世界的な創業経営者はエンジニアのバックグラウンドを持つ人ばかりで、イーロン・マスクもマーク・ザッカーバーグも小学校からプログラムを書いています。今学ぶべきは、ソフトウェアエンジニアリングを中心としたテクノロジーの解像度を高めることです。どんな仕事をしていても、あなたの能力を掛け算で高められるからです。
ただし誤解しないでください。職業としてエンジニアになれと言っているわけではありません。実際、講師の感覚では職業エンジニアの多くもAI時代についていけていないそうです。テクノロジーのリテラシーは大事ですが、それだけで全部うまくいくわけではありません。もう1つ必要なのが「頭の中のアイデアを形にした経験」です。作ったことがある人だけに見える世界——設計の勘所、ユーザーの反応、使いやすいUI(画面上の操作部分=ユーザーインターフェース)、最後の10点を詰める苦しみ——があります。
パラダイムシフトの回答例
講義では、このワークの回答例がいくつか示されました。
- 映像 — 映像作品は専門家だけのものだったのが、個人で届けられるようになりました。AI時代は、AIが自律的にコンテンツを作って配信する時代です。AI YouTuberを見るのが当たり前になり、人間のYouTuberではなくAI YouTuberを管理する会社も出てきます。講師は「実は私たちも本気AIでそこを目指しています」と明かしています。
- 翻訳 — 翻訳の専門家がいる翻訳会社に頼むしかなかったのが、Google翻訳やDeepLで誰でも翻訳できるようになりました。AIでさらに翻訳が自然になった先では、もっと細かいニュアンスまで自動で判断するようになります。たとえばアメリカの製品を日本で販売するとき、「この表現は日本の文脈だとこう伝えたほうがより効果的だ」という、翻訳を超えた提案ができるようになる。言葉の変換ではなく、文化を読むようになるのです。
- 出版 — AI時代の出版社は、AIライターを管理することが業務の中心になっていきます。
- 音楽 — AIの歌手が登場します。
- デザイン・写真 — AIが自動生成します。旅先で何枚もベストな写真を撮らなくても、雑な写真が1枚あればパーフェクトな表情の写真ができるようになり、「どう撮影するか」よりも「どんな写真にするか」に重きが置かれるようになります。
ワークで考えたのは、AIによってどんなパラダイムシフト(大きな価値観の変化・産業構造の変化)が起きるか、ということでした。
6ヶ月のカリキュラムと必須ツール
AIの変化は早く予想が難しいため、途中で内容が変わる可能性はありますが、現時点の予定は次の通りです。
| 月 | テーマ | 作るもの |
|---|---|---|
| 1ヶ月目 | 図解ツール | 自分専用の図解ツール |
| 2ヶ月目 | レポート・ニュースツール | 自分専用のレポート/ニュース作成ツール |
| 3ヶ月目 | ワークスペース | この講義作成で使うような自分専用の作業場 |
| 4ヶ月目 | 文書作成 | お金を払ってもらえる価値のある文書とそのツール |
| 5ヶ月目 | 資料作成 | 社内・お客様に見せる資料をAIで作る仕組み |
| 6ヶ月目 | 卒業制作 | 自分で企画したオリジナルのツール |
毎月、そのまま使えるひな形のソースコードを渡します。ただしこれはサンプルであり、セキュリティ・動作の保証・具体的な使い方やカスタマイズ方法は保証できないため、利用は自己責任です。自分の武器を作るのは既存ツールを超えるためであって、既存ツールを使うなという意味ではありません。現時点でのAI時代の必須ツールは3つです。
- AIコーディングツール — CursorやClaude Codeです。Anti-GravityやCo-Deckもあります。講師はCursorとClaude Codeの両方を使い、総合的には現時点でCursorが使いやすいと感じています。作業の7割をCursor、3割をClaude Codeで行っていますが、来月にはベストが変わるかもしれません。
- GitとGitHub — Git・GitHubは簡単に言うと「文章の変更履歴を管理する道具」です。AIに与える前提条件(コンテキスト)を整理するうえでGitの活用は必須です。小難しく初学者が挫折しやすいツールですが、AIに聞けば操作してくれるし分かりやすく説明もしてもらえるので、かなり使いやすくなりました。「AI時代の必須オブ必須」と位置づけられています。
- 音声入力ツール — おすすめはTypeLessとAquaVoiceです。自動での構造化に強いTypeLess、そのまま正確に読み取るのに強いAquaVoice、という使い分け。この講義の原稿はすべてTypeLessの音声入力で作られ、コーディングもすべて音声入力です。作業場にマイクを置いておくのもおすすめとされています。マイクはApple純正の有線マイク(3000円前後)がおすすめで、ノイズキャンセルはないものの性能が優秀で、有線なので刺した瞬間に確実に伝わる利点があります。
大事なのはツールの使い方ではなく、道具が変わっても通用するAI-Drivenな能力です。分からない概念がたくさん出てきても大丈夫。毎日5分から10分、できればそれ以上ドリルをこなしてください。
AI Drivenルールズ:10の行動指針(前半5つ)
「AI Drivenルールズ」はAI時代の行動指針で、このスクールにおけるいわば憲法です。全部で10個あります。
- 90点→100点の戦いに備えよ
- 理解できないものを作るな
- 自分の武器を自分で作れ
- 図解で認知コストを下げろ
- 議論する前にプロトタイプを作れ
- AIが見る情報を整えろ
- スキルを育て続けろ
- 抽象指示より模範解答を作れ
- スピードを出すな、対話しろ
- 1クリックを減らせ
ここでは前半5つを解説します。残り5つは次章で扱います。
Rule 1:90点→100点の戦いに備えよ
これを最初に置いたのには理由があります。AIを使えば90点くらいのものは本当に一瞬でできます。横軸を時間、縦軸を品質とすると、一気に90点レベルまで駆け上がる感覚です。しかし、ここからが本番。90点から先が急に難しくなります。資料・画像・アプリを作ってみて「すごい」と感じても、ディテールを調整しようとすると急に難しい、という経験があるはずです。
これはAIの研究でも明らかになっています。AIにコードを書かせるとき、教科書に載っているようなよくある問題なら正答率は84〜89%と優秀です。ところが実際のプロジェクトの中でコードを書かせると正答率は25〜34%まで落ちます。ゼロからよくあるフォーマットで一気に作るのは上手いのに、すでにある複雑な仕組みの中では能力が3分の1になるのです。身近な例ではイラストも同じです。AIにイラストを作らせると、それっぽい高品質なものはすぐできます。しかしそこからオリジナリティを出そうとすると急に難しくなり、チャットでやり取りしているうちに全然違うものになっていく——そんな経験がある人も多いはずです。さらにAmazonの研究チームが3000件以上の実データで調べたところ、AIが一度も見たことのない「新しいプロジェクト固有の問題」では正答率は7〜16%。10問やって正解は1〜2問という水準でした。
なぜ90点で満足できないのか。プロの世界を想像してください。90点くらいの車を恐ろしく速く作れる自動車メーカーは成り立ちません。平均90点=10台に1台事故、では話にならず、1万台に1台でも事故は許されません。プロアスリートも、オリンピックレベルのタイムに近づくほど一気に難しくなります。プロの料理人は365日、常に最高のものを出し続けます。お金を払うに値する付加価値とは、90点から100点を保証することなのです。
先ほどの「面倒の正体」ワークを思い出してください。「調べる/考える/作る/仕上げる」の4択で、多くの人はA(調べる)かB(考える)を選んだはずです。正解はありません。どれを選んでも正しいのです。しかしAIから見ると——A「調べる」は検索・要約・分析が一瞬でAIの最も得意なこと。B「考える」もAIは得意で、壁打ち相手として優秀。C「作る」も、何を作るか決まっていればワールドツアーで見せたようなツールを一気に作れます。残るはD「仕上げる」。ボタンの色は適切か、この言葉で細かいニュアンスが伝わり切るか——ここは人間が詰めるしかなく、しかもエネルギーがかかります。
最初の進捗ダッシュボードのワークにも、この90点→100点の詰めの話はそのまま適用されます。AIに丸投げしてやってもらう、という段取りは駄目です。分析手法や処理の流れを考えるより前に、「人間から見てどんなダッシュボードなら見やすいと感じるか」を詰め切ることから始めます。
Rule 2:理解できないものは作るな
Rule 1の90点→100点の壁に関連します。知識がない人でも便利なツールは作れますが、理解できないまま作り進めると最後の詰めができなくなります。だいたい動くのに「あとちょっとが動かない」ポイントが永遠に修正できず、エラーが出ても何が間違っているか分からず、そもそもなぜ動いているのかも分からない。合わせ調味料(クックドゥのようなもの)で本格中華は作れても、そこから100点を目指すには素材・調味料・調理技法の深い理解が必要になるのと同じです。AIに丸投げで進めると、なぜ動くか分かっていないので敗北が確定します。
もう1つ大事なのが「記憶のゴールデンタイム」です。作りたいものがある・解決したい課題があるその瞬間こそ、脳が最も記憶を定着させやすい時間です。「このデータを自動で取る仕組みを作りたい、どうやったらできるんだろう」と思って調べたことは忘れません。ところがAIは便利すぎて、プロセスをスキップして結果だけ受け取りたくなり、最高の学習機会を捨ててしまいます。
半年間は分からないことだらけから始まります。多くの人に教育サービスを提供してきた講師の経験則では、人の成長は一定の学習時間を投下した後に一気に来るものです。焦らず積み重ねていくことが大切です。
講師自身、決してブランクのないベテランではありません。20代はかなりコードを書いていましたが、経営や発信に集中してブランクがあり、しっかり書くようになったのはこの2年ほど。感覚を忘れていたので、AIに聞きながら一つずつ理解して学び直したそうです。
これは講師がAIによく使うフレーズです。分かったふりをせず、理解しながら前に進む。かといって「体系的に全部勉強してから作る」のも間違いです。全部理解してから作るのではなく、作りながら学ぶのがベスト。そのほうが記憶に定着し、技術の仕組み以外の多くのことも学べるからです。
Rule 3:自分の武器を自分で作れ
90点から100点の壁があり、それを越えるには仕組みの理解が必要だと分かりました。では理解した上で何をするか——自分の武器を作るのです。これまでの時代は、WordやExcel、スプレッドシートのような汎用ツールに自分の仕事を合わせるのが当たり前でした。しかしそれらは一人ひとりの仕様に100%フィットするようには作られていません。だから自分で作る。作れるようになったし、むしろ作らなければ差がつきません。
ワールドツアーで見せた講義作りの裏側がまさにこれです。かつてはiPadで手書きし、原稿に起こし、デザイナーと何度もやり取りしていました。AIがない時代はそうするしかなく、いろんな便利ツールの「中継役」に自分がなっていたのです。それは今では古いやり方。講師は構成・原稿・スライドの全情報が入り、音声入力でいい感じの原稿とスライドを作れるツールを自分で作りました。PowerPointもKeynoteもGoogleスライドも素晴らしいが、自分の仕事に最適化されていなかったからです。
道具を作る側のハードルは、この1〜2年で劇的に下がりました。Googleのレポートによれば、今や会社員の90%がAIを業務で使い、80%以上が生産性が上がったと回答しています。講師の体感でも、以前は3ヶ月かかったものが1週間でできるようになったそうです。
私たちはありもののツールを使うことに慣れ、「自分で作るのは間違い」と思い込んでいます。その古い考え方を捨てましょう。
Rule 4:図解で認知コストを下げろ
2025年に世界で1年間に生まれるデータ量は175ゼタバイトという、聞いたこともない単位です。分かりやすくDVDに換算すると1日にDVD2億枚分。AIの普及でさらに加速し、AIが文章を書き、画像を生成し、コードを吐き出し、動画も作ります。人間の脳の処理量をはるかに超える情報が毎日生まれる一方、人間の脳は何千年も変わっていません。
2024年、カリフォルニア工科大学の研究チームが論文を出しました。人間の脳が意識的に処理できる情報量は毎秒たった10ビット。10ビットとはざっくり1024パターンの情報で、ごく少ない情報しか処理できないということです。一方、目や耳からは毎秒10億ビットもの情報が入ってきます。情報は爆発しているのに、人間の処理能力はまったく追いついていません。
では、処理能力が上がらない中でどうやって膨大な情報を処理するのか。答えは「ビジュアルで理解すること」です。同じ内容でも、文章だけのものと図にしたものでは、図のほうが圧倒的に早く頭に入り、全体像がスッと入ります。見せ方で認知スピードが変わるのです。これまで仕事で何かを伝える手段はテキスト(文章・メール)が主流でした。テキストが一番コストの安い手段だったからです。しかしAI時代には膨大な情報を処理せねばならず、長い文章を読むのは認知コストが高すぎます。AIで素早く図解を作れるようになった今、膨大な情報を処理するには図解が必要です。とはいえ図解の作成にも一定の時間はかかるため、まだテキストを使う場面も多い、という留保も付けられています。
図解には2つの用途があります。1つ目は自分用——複雑な情報を図にして自分が理解するため。2つ目は共有用——伝えたいことを図解にして他人に見てもらうため。運営では社内共有を基本すべて図解にしています。読みやすく、認識のズレがなくなるからです。作り方は、Cursorでスラッシュから図解コマンドを呼び出し、文章ファイルをドラッグ&ドロップするだけ。スマホでも読みやすく一定デザインされた図解ができるスキルは配布しますが、それをそのまま使うだけでなく、自分の会社・自分の仕事に最適化することが重要です。その実例が「本気AI」専用の図解コマンドで、そもそもどんな事業か・どんなサービスかを言わずとも理解してもらえるように作られています。1ヶ月目はこの図解作りを実践する月になります。
Rule 5:議論する前にプロトタイプを作れ
認知コストを下げるために図解を作る——しかし、もっと強力な手段があります。それは「動くものを見せること」です。AIのおかげで動くものを作るハードルが下がりました。人間は感情で意思決定します。長々とロジックを説明されるより、目に見えるものをパッと見せられたほうが「いいね」と判断できます。動かない100枚の企画書より、動くプロトタイプを1つ作るほうが強いのです。
受講の前提と学習サイクル
最初のワークでは、AIを活用して進捗ダッシュボードのツールを作る段取りを考えました。ここまでの5つのルールに則って考え直すなら、①「これが出てきたらいいな」と思うものを作る、②どうやったら作れるかを調べ、AIに図にしてもらって自分で理解する、③分からないことは追加で調べて仕組みを理解する、④自分専用に作り込んでいく、という流れになるはずです。もし今同じお題が出されたら、最初とはまったく違うAI-Drivenな考え方ができるはずです。
そのうえで、受講にあたっての前提ルールと日々の進め方です。
前提ルールは4つあります。①運営は受講生の代わりにツールを作ることはできません(便利なツールは渡しますが、手を動かすのは自分。作り方の質問に運営が答え続けると受託開発のような構造になってしまうため、開発は各自で行います)。分からないことは、今の時代AIに聞くほうが早くて正確です。なお、渡されるツールは自分の使いやすいようにカスタマイズして構いませんが、販売するなどの商用利用は不可とされています。②テクノロジーの学習はドリルで行います(講義で細かい技術を話すと理解度に差が出て、大事なことが伝えられなくなるため)。③自分で作ったツールは自分で管理します(セキュリティやデータ消失は自己責任)。④カリキュラムは今後変わる可能性があります(AI分野の進化が早いため、常に最新の最良のやり方を伝えます)。受講の細かい情報はすべてポータルサイトに載っているので必ず確認してください。
CursorのAIコーディングツール利用料は受講料に含まれます(週5時間の学習を想定した範囲。超えたら各自課金または別ツールを使用)。ツールはCursorでなくても、Claude Code・Anti-Gravity・ChatGPT・Co-Deckなど使いやすいもので構いません。細かいサポートが少ないと感じるかもしれませんが、ツールの進化も技術の主流も早く変わるため、一つのツールの使い方を細かく教えても1ヶ月後には変わっているかもしれません。分からないことはスクリーンショットを撮ってAIに聞くのがおすすめで、範囲選択してコピーした状態にできるようにしておくと素早く渡せます(講師はトラックボールのボタンでスクリーンショットを撮れるようにしています)。
ドリルには特徴が3つあります。①座学ではなく体験で学ぶ(スライドや動画を見て「ふーん」で終わらせず、問題を解きながら概念を掴む。Gitの仕組み、ウェブの動く原理、AIの基礎などを体験で学ぶ)。②コツコツ続けられる設計(毎日少しずつ、1レッスン5分程度)。③実際の操作画面を見て学ぶ(Gitやターミナルの実画面が出て、擬似体験ができる)。すでに知識がある人はスキップテストに合格すれば飛ばせます。極力楽しく学べるよう工夫していますが、決して簡単ではなく、集中しないと間違えるように作られています。分かったふりでサクサク進めても意味がないので、じっくり考えて進めてください。一方で、可能な人はどんどん先に進んで構いません。シリーズは後から追加されていきます。仲間と切磋琢磨する「フレンズ機能」もあります。人によって忙しさも前提知識の理解レベルも違うため、進捗に一喜一憂しないことも大切です。
半年間の学習サイクルの柱は4つです。
- 講義 — 月2回
- ドリル — 毎日5分から10分
- グループセッション — 月1回、チームでオンラインに集まりフィードバックし合う場(予定の入れ忘れ・急なキャンセルに注意)
- 月次課題 — 毎月1つ、動くツールを完成させる
これに加えて月1回のライブ配信があります(視聴は必須ではないが、講師が直接質問に答え、最新のAI活用事例を紹介する場)。
今週やることは3つです。①Cursorのセットアップ(マニュアルが配布される。AIやグループメンバーに質問しながら完了させる)、②ドリルを毎日やること、③自己紹介図解の作成(これはあえてひな形を使わず自由に作る)。来週のグループセッションで自己紹介図解を発表し、仲間からフィードバックをもらいます。1ヶ月目のテーマは図解(Rule 4の実践)ですが、課題の詳細は次章で伝えられます。
まとめ
- AI-Drivenな人材とは「AIに仕事をさせる人」であり、「技術」と「目的意識」を持ち「作る経験」を繰り返した人を指す。ChatGPTを使えるだけではコモディティで武器にならない。
- 運営が現場で使う5つのツール(図解・デイリーレポート・動画演出・クイズ作成・コンテンツビューアー)は、すべて「仕事で困った→自分でツールを作った→仕事が変わった」という同じパターン。図解・レポート・動画のツールは非エンジニアが作った。
- AIは90点までを一瞬で作るが、90点→100点の詰めが苦手。教科書問題の正答率84〜89%が、実プロジェクトでは25〜34%、新規プロジェクト固有の問題では7〜16%まで落ちる。付加価値は「最後の10点=仕上げ」を保証することにある。
- 「調べる・考える・作る」はAIが得意。人間に残るのは「仕上げる」。上流から全自動を狙うのではなく、人間が最後を詰め切る道具を作り、下流から自動化する。
- 「仕事がなくなる」は誤解。ジェボンズのパラドックス(効率が上がりコストが下がると需要が爆発する)の通り、翻訳・カスタマーサポート・ソフトウェア開発の市場は伸びる。仕事はなくならず需要が高度化する。
- 世界のAI投資は2026年に約390兆円(前年比44%増)、NVIDIAは売上3年で8倍、Cursorは24ヶ月でゼロから評価額約5兆円。AIのコーディング正答率は1年半で49%から80%超へ。
- 汎用ツールに自分を合わせる時代は終わり、自分の武器を自分で作る時代。ただし理解できないものを作ってはいけない。作りながら学ぶのがベスト。
- 前半5つのAI Drivenルール:①90点→100点の戦いに備えよ、②理解できないものを作るな、③自分の武器を自分で作れ、④図解で認知コストを下げろ、⑤議論する前にプロトタイプを作れ。
- 必須ツールはAIコーディングツール(Cursor/Claude Code)、Git・GitHub、音声入力ツール(TypeLess/AquaVoice)。学習の柱は講義・ドリル・グループセッション・月次課題の4つ。
新出用語
- AI-Driven(AIドリブン) — AIに仕事をさせ、自分で武器(ツール)を作って仕組みを回す人材・働き方のこと。
- Cursor — 本来エンジニア向けのAIコーディングツール(AIコード編集ツール)。講師は講義作りにも活用している。詳細は本文の補足(出典:Cursor公式)参照。
- Claude Code — AIコーディングツールの一つ。講師は作業の3割をこれで行っている。
- Git・GitHub — 文章やコードの変更履歴を管理する道具。AIに渡す前提情報(コンテキスト)を整理するうえで必須、「AI時代の必須オブ必須」とされる。GitとGitHubの関係の詳細は本文の補足(出典:GitHub Docs)参照。
- HTML図解 — ウェブページを作る技術HTMLで作り、ブラウザで開いて見られる視覚的な資料。ワンコマンドでAIに作らせる。
- コンテキスト — AIに渡す前提条件・前提情報。事業内容や利用者などの土台情報を自動で渡せるようにしておくと精度が上がる。
- Human in the Loop — AIが出力し、人間が承認もしくは修正を入れる流れ。人間を工程の輪の中に組み込む考え方。
- Skill・Sub-agent・Hook — AIの限界を超えるための「三種の神器」として名前が紹介された技術。講義では「今は分からなくて大丈夫」とされた。各用語の意味は本文の補足(出典:Anthropic公式)参照。
- プロトタイプ — 試作品。動かない企画書より、動くプロトタイプを見せるほうが意思決定を速める。
- UI(ユーザーインターフェース) — 画面上の操作部分。ボタンの色や配置など、使いやすさを左右する要素。
- ジェボンズのパラドックス — 効率が上がりコストが下がると、使える場所が広がって需要(消費量)がむしろ爆発するという法則。石炭・蒸気機関の時代から続く。
- アーキテクチャ — システム全体の構造設計。コードをAIが書くようになっても、全体設計を考える人は必要とされる。
- 音声入力ツール — 話した内容を文字にする道具。自動で構造化に強いTypeLess、正確に読み取るのに強いAquaVoiceが挙げられた。
- ゼタバイト — データ量の非常に大きな単位。2025年に世界で1年間に生まれるデータは175ゼタバイト(1日にDVD約2億枚分)とされる。
- パラダイムシフト — 大きな価値観の変化・産業構造の変化。