💰 コストとモデル選び 5問
料金・トークン・モデルの使い分け・最新モデル動向
Cursorの利用枠の減りが想定以上でした。質を保ちながら抑える方法はありますか?
Cursorの利用枠(契約プランで使えるAIの利用量の上限)の減りが想定より早く、質を保ったまま利用枠を抑える方法や、利用枠に関するアドバイスが欲しいという質問です。
講師はまず、これはAI-Driven School固有の問題というより、急成長する生成AI市場全体の問題だと位置づけます。ポイントは「トークン(AIがテキストを処理する際の最小単位で、料金や利用枠の計算基準になる)が税金になっている」という感覚です。一度AIの利便性を知ってしまうと、もうAIを使わないという選択肢は取れなくなり、使えば使うほどトークン費用がかかっていきます。
講師の肌感覚では、AIを十分に活用しようとすると、最低でも月5,000円以上の費用が必要になっているといいます。本格的に使うのであれば、月数万円以上かかっても決して不思議ではないとのことです。これは「トークン費用は諦めてください」という意味ではなく、食費と同じで、どんなに削っても削れる限界があるという前提を共有しておきたいという趣旨です。
具体的な節約方法としては、AIの出すアウトプットの量を減らすこと、リーズナブルなモデル(処理コストの低いAIモデル)を使うことが挙げられます。ただし、あまりに切り詰めすぎると試行錯誤自体が難しくなってしまいます。講師はこれを「節約の絶品レシピでも、1食50円では限界があるが、1食300円ならかなり色々なパターンが作れる」と例えています。同じように、一定のAIトークン予算を確保することが、AI時代についていくためには必要だとしています。
講師自身も、受講生と同じチームプランでは全く足りないといいます。それはAIの良し悪しを評価するために、試行錯誤にふんだんにトークンを使っているためですが、同時に「AIのトークンにお金を払えるかどうかが市場価値に直結してしまう」という厳しい格差の現実も感じているとのことです。ただし、トークンをたくさん使えることが常に正義というわけではありません。トークン消費を節約するという行為は、AIにとって効率的な指示の出し方・仕事のやらせ方を考えることそのものであり、そこを工夫することがAIの使い方の上達につながると講師は述べています。
なお、講義用のプランでは、受講生ごとの利用ツールやこだわりのレベルに差があるため、使い放題の提供は難しいとしています(誰かが極端に多くのトークンを使ってしまうと運営が成り立たなくなるため)。Cursorを本格的に使うのであれば、追加の課金も検討してほしいとのことです。特にAI-Driven Schoolは座学ではなく自分の仕事で使えるツールを作るためのプログラムであるため、AIへの投資はすべて自分自身への投資になる、というのが講師の考えです。
業務内容や目的ごとにAIツール・モデルをどう使い分ければよいですか?
スライド作成、API(アプリ同士をつなぐ窓口)を使った自動化、知識の保管、日常の調べ物といった目的ごとに、使うAIツールを呼吸するように使い分けたいが、判断基準が分からず混乱しているという質問です。
講師は現在、AIモデルとしてはおよそ99%Claude(Anthropic社のAIモデル)を使っています。スマートフォンのアプリもClaude、開発はClaude Code(ターミナル上で動くAI開発ツール)、文章作成はCursor(AIが組み込まれたコード編集ツール)上のClaudeというように、用途を問わずClaudeに寄っています。以前はGemini(Google社のAIモデル)をメインで使っていた時期もありましたが、現在は大きくClaudeに移っています。ChatGPTは以前は調べものに使っていましたが、最近はほとんどClaudeに置き換わっています。ただし画像生成についてはGeminiを使うことが多いとのことです。
NotebookLM(Google社の資料まとめ・要約サービス)は日常的には使っていませんが、部分的に活用しています。例えば過去のYouTube動画の原稿をすべて保存しておき、「前の動画で何を話したか」を思い出すときに便利です。会社の細かい情報をまとめて社員に見てもらう用途にも活用しています。
重要なのは、これらの使い分けが固定的な正解ではなく、常に変わり続けるという点です。講師自身、「これが一番いい」と一つに絞って断言できるのが理想だとは考えているものの、実際にはそれが難しい時代だと述べています。あるモデルの新機能が非常に優れていても、翌週には別のモデルがより優れたものを出してくる可能性が常にあります。そのため、常にフラットな視点で状況を見て、その時点で最適なものを選び続ける姿勢が重要です。
なお、定型的な予約作業やパソコンの操作を伴う繰り返し作業には、Claude Cowork(パソコン操作を伴う定型作業を自動化するAIツール)が便利だとされています。
Cursorのモデル選択(Opus・Sonnet・GPT系など)は、どのような基準で使い分ければいいですか?
Cursorで利用できるAIモデル(Opus・Sonnet・GPT系など)を、どのような基準で使い分けているか、という質問でした。
自身はOpus(Anthropicが提供するモデルの中でも高性能な上位モデル)を使っているものの、個人で開発をする場合、すべての作業をOpusで行うのはコストが高くなりすぎると説明されました。
上位モデルを使う目安は、開発の上流にあたる難しい設計や、大きな意思決定をするときに限られるといいます。単純にコードを書くだけの作業であれば、Sonnet(Opusより軽量で低コストなモデル)でも十分な性能を発揮するとのことです。さらに簡単な作業や調べものであれば、Cursorの「Composer」(Cursorが提供する軽量モデル・機能)もおすすめとして紹介されました。
企業の予算で使う場合ではなく、個人で予算を抑えたい場合には、基本的にSonnetで動かすので今は十分である、という結論が示されました。
Opus 4.8を使っていて、なんとなく抜けている・頭がよくないと感じることがあります。これはモデルの特性でしょうか、使い方の問題でしょうか。
結論として、Opus 4.8は時々バグる(不安定な挙動をする)ことがあり、これは提供元のAnthropic社も認識している問題だと説明されています。特に、より上位のモデル「Fable」が登場した時期あたりから、Opus 4.8の不安定さが目立つようになったとのことです。そのため、この時期は最新のOpus 4.8ではなく、ひとつ前のOpus 4.7を使う場面が多かったと明かしています。
モデルの調子が悪くなるという現象は、Opus 4.8に限らず、これまでも他のモデルで起きてきたことだといいます。そのため、AIとやり取りをしていて「なんか様子がおかしいな」「何を言っているかわからないな」と感じたときは、使っているモデル自体の一時的な不調を疑い、他社のモデル(例えばChatGPTなど)で同じ作業を試して比較してみることが勧められています。
Claude Fable 5を数日間使い倒したそうですが、Webツール開発においてOpus 4.8やSonnet 4.6と革新的に違う点はどこにありましたか。
Claude Fable 5は、Anthropicが2026年6月9日に公開した最上位モデルです。従来の最上位モデルだった「Opus」のさらに上に新設された「Mythos」というクラスのうち、広く一般公開された第一弾のモデルにあたります。公開からわずか3日後の6月12日、アメリカの輸出管理に関する指令によって全世界で利用が停止され、講義の時点で復旧時期は未定とされています。
Opus 4.8やSonnet 4.6と比べて革新的に違った点を一言でいうと「とにかく賢い」ことに尽きるといいます。具体例として、AI活用マガジンの記事作成において、キャラクターごとのセリフの微妙なニュアンスを、以前よりはるかに正確に再現できるようになった体験が紹介されています。部下の書いた原稿に対してフィードバックをする作業で、Opus 4.8を使っていた前日と、Fableが公開された当日とで、出力のクオリティが明らかに変わったといいます。人間が一夜にして急成長することはないため、これはFableというモデル自体の恩恵が大きかったと確信するに至った、というエピソードです。
ただし、性能が高い分、料金も高くなります。誰にでもすすめられるモデルというより、高度なことをやらせたいときに選ぶべきモデルだと位置づけられています。